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生駒市の内科・循環器内科 カズクリニック

内科的!骨粗しょう症のお話

健康維持に欠かせない丈夫な骨

人体の骨は約200個ほどあり、その役割は単に体を支えるだけでなく、若さを保ち、脳の活動の活性化や肺炎や癌から人体を守る免疫に関わる内科疾患に大きな影響を及ぼすことが近年解明されてきました。
例えば、骨粗鬆症になり大腿骨の頸部骨折など重大な骨折を罹患すると罹患後の数年の内に骨折した高齢者の4-5名に一人が命を落とすという報告があります。大腿骨の骨折は骨折後の手術後もリハビリがあり、ケースによれば車椅子生活を余儀なくされる重大な出来事です。

骨粗しょう症とは?

骨粗しょう症は骨のカルシウム量が減少して骨がスカスカになってもろくなることです。進行すると重いものを持ち上げて無理をしたことで背骨がつぶれたりします。背骨が徐々につぶれていくと、背中が丸くなったり腰が曲がったりして、歩きづらくなってきます。ちょっとしたはずみで背骨を骨折したり、転んだ時に手首・ももの付け根などを骨折しやすくなります。

例えば古くなった自宅は傷んだところや雨漏りするところをリフォームしますね。人間の体の骨も同じです。古くなった骨はリフォームされます。若いうちは大丈夫だけれど年齢を重ねるとこのリフォームがうまくいかなくなります。とりわけ女性ホルモンが減ると過度の骨のリフォームがおこります。


骨粗しょう症のメカニズム

骨粗しょう症は骨の新陳代謝のバランスが崩れることによって引き起こされます。骨は破骨細胞で古い骨細胞が壊されることで骨吸収がおこり、また骨芽細胞によって新しい骨が作られます。これがくり返され古い細胞ば新しい骨に生まれ変わります。この骨吸収と骨形成の動きのバランスが崩れると骨吸収が骨形成を上回ると骨がもろくなります。

骨粗しょう症で「いつのまにか骨折」に

骨粗しょう症になるとはじめは自覚症状がないことがほとんどです。そのなかでも次のようなことが気づくきっかけとなります。

①腰痛や背中が丸くなる
②身長が縮む

女性は60歳を超えると骨粗しょう症になる割合が急激に増えていきます。骨粗しょう症になると背中が曲がり身長低下があると胸根や腰が弱くなり自重でいつの間にか骨折していることがあります。


骨折で要介護に!

転倒して腕や大腿骨骨折などすると運動機能が低下して車椅子生活を余儀なくされたりうつ病や認知症を患うリスクが高まります。

当院で行う骨粗しょう症の検査

  • 両手のレントゲン写真で骨量測定
  • 血液・尿で破骨細胞の活性化測定
  • 体成分分析装置による測定

①両手のレントゲン写真で骨量測定

手(第二中手骨)の骨と階段状のアルミニウム板とを同時にX線を用いて撮影し、骨とアルミニウム階段の陰影濃度を比べることによって骨量を算出します。


若年成人の骨量の平均値(young adult mean:YAM)を100%基準にして骨密度を評価します。


②血液・尿で破骨細胞の活性化測定

血液・尿の「骨代謝マーカー」を調べることにより、骨吸収と骨形成のバランスがわかります。このバランスが崩れると、骨は弱くなります。また、骨吸収を示す骨代謝マーカーの高い人では、骨密度の低下する速度が速いため、骨密度の値にかかわらず骨折リスクが高くなっています。

骨が壊れる⇒骨のリフォームの解体屋さんの仕事が過剰になっている指標

◆ 血流 TRACP-5b(骨型酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ)

基準値40.3~301.4mg/mmolCr

◆ 尿 DPD(尿デオキシピリジン)

基準値2.8~7.6Cnmol/mmol Cr

③体成分分析装置による測定

◆ ミネラル量測定(体成分分析、BIA法)

成人のミネラル量 3.04~3.72Kg


骨粗しょう症の予防

  • 日頃の運動や食事などの生活習慣の改善が予防に重要です。糖尿病などの生活習慣病も骨粗しょう症の引き金になります。
  • 運動器の衰えはフレイル・サルコペニアとともに転倒・尻もちなどしやすくなり骨折のリスクも上がります。

例えば大腿骨頸部骨折の場合・・・


骨折すると入院して手術、その後リハビリ入院や老健施設でのリハビリ入所が必要となります。ご本人はもちろんご家族にも大きな負担となります。
適切な生活改善を行えば、骨密度の減少を改善し、骨折リスクを大幅に減少させることができます。
偏食や極端なダイエット、喫煙や過ぎた飲酒なども骨粗しょう症の原因と目されており、最近では高齢の女性だけでなく、若い女性の骨粗しょう症も問題視されるようになっています。

内科的な骨の役割

人間の骨は毎日生まれ変わっています。新しい丈夫な骨を作ることで体重や運動の衝撃から骨折を守るためです。成人では3~5年で全身の骨が入れ替わります。
これは 後でも詳しく述べますが骨は骨髄の中に存在する二つの細胞つまりは ①解体屋さんで骨を壊す破骨細胞と ②大工さんで骨を作る細胞=骨芽細胞などで構成されています。若年者でも起こる運動不足や女性においては閉経などによる女性ホルモンの低下で、破骨細胞が優勢となり骨が脆弱になることが骨粗鬆症です。
最新医学の研究の中において科学的な分析が飛躍的に発展して骨から作られるメッセージ物質が次々に発見されています。

メッセージ物質

1.オステオカルシン

骨芽細胞が生成するオステオカルシンは骨髄から血流に乗り全身に届けられて脳や体の中の様々な重要臓器にメッセージを届けます。

  • 人間の記憶を司る脳の海馬の細胞を増加させて記憶力を保ちます。つまり認知症の予防になります。
  • 男性ホルモンのテストステロンの分泌を促進して筋力・生殖力アップします。このような働きで若さを保つ役割を果たします。
2.オステオポンチン

ドイツのガイガー博士の研究で明らかにされました。高齢のマウスの骨髄内ではオステオポンチンが減少してます。オステオポンチンが減少すると骨髄内で生成される免疫細胞が減り、肺炎などの感染症や癌に罹患するリスクが高まります。適切な運動や治療で骨粗しょう症にならないことが重要です。

3.スクレロスチン

スクレロスチンは骨の代謝のコントロールタワーです。スクレロスチンは骨の過剰生成を抑制する物質です。新しい骨が作られるのは、ウォーキングやスポーツで体の骨に荷重や衝撃があって生成されます。それらの物理的な衝撃がが加わらないとスクレロスチンが過剰に生成されて骨芽細胞を減少させて骨粗鬆症になります。


このように健康な日々を送るためには適切な有酸素運動とともに、運動することで骨に刺激を与えることが内科的にもとっても大切です。